ヒトリ、タビニデマシタ。その2


二つ目の島を渡った私   今回の目的である犬島へ

 

瀬戸芸が始まるまで知らなかった島

 

犬島付近にも小さな島がいくつかあって

 

犬島はその諸島のひとつ

 

中には犬に似た巨石がある犬ノ島があり

 

犬島から見える と、もらった地図に書いてあったけど

 

結局探せなかった

 

ここはかつて銅の精錬所があってその跡地を

 

今は美術館として復活させている

 

前は予約制だったけど、今回の瀬戸芸から

 

自由鑑賞できるようになったので行ってみた

 

 

 

 

←入り口の門にあった看板

 

門をくぐるとそこにはレンガの壁が立ち並び

 

まるで巨大迷路に彷徨ったのような楽しさが.

 

壁に案内されながら 入り口に着く

 

中に入り、説明を受け ぐるぐると暗闇の中へ

 

ライトは無い 

 

頼りは行き止まりを示す鏡の反射だけ

 

まるで洞窟に迷い込んだみたいだった  

 

だけど真っ暗な闇ではなく 進む方向は指し示してくれている  

 

暗闇の不安の中での安心感

 

たどり着いた部屋に入った時 

 

宝の部屋にでもたどり着いたような高揚感で

 

胸がじんわりと熱くなった

 

最後の部屋に案内され20人程が小さな部屋に閉じ込められる

 

そこは適度な緊張感と異様さが入り交じる不思議な空間だった

 

 

犬島は 半日もあれば歩いて一周できる程の小さな島

 

とても静かな島で 住人達の高齢化は進み

 

かつてあった小中学校は廃校

 

代わりに自然の家として地域の林間学校などに使われている

 

そこでヤギの世話をしているおばあさんを見かけた

 

 

 

途中迷子になった 小さな島なのに目的地にたどり着かない

 

こうなったら降参して寄り道ばかりした

 

ひたすら迷ってみた そのお蔭で地図にはない物を色々発見した

 

“犬島ハウスプロジェクト”という

 

ここでも瀬戸芸とは別のアート作品があった

 

定紋石という看板があり 紋が刻まれた石があった 

 

意味はわからない 

 

けどここにずっとあって守り神のようなものだろうか

 

引き返す時にまた新たな旅人とすれ違って

 

『何があるんですか?』

 

           『いし?…がありました』

 

『いし?…ですか』

 

アートには関係ないのだがこの先にあるものをどうやらこの人達も

 

この目で確かめたいんだなと思いちょっとおかしくなった

 

後で調べたらここらの石はかつて大阪城の石垣に使われていて

 

担当していた大名が石に紋を刻んで運んでいたそうで

 

この石はその残石だそう 

 

そうやってあれは一体なんだったんだろうと

 

自分で調べる事も何だか楽しかった

 

まだまだ知らない世界は多い 知りたい事がたくさんある

 

 

 

もらった地図が解りにくいのは如何なものかと思ったけれど

  

後で思い返したら 目的を明確に定めていると

 

ゴールする事しか見えなかったかもしれない

 

途中にある小さな発見にも気付かなかったかもしれない

 

島全体を感じれたような気分だった

 

迷い込んだ先で今回の旅の本当の目的である

 

維新派の舞台リハーサルが聞こえてきたので 心が躍った

 

 

 

     *    *    * 

 

 

 

 

 

ずっと楽しみにしていた

 

琵琶湖の水上で行われていた《呼吸機械》の時から.

 

 

開場まで時間があったので途中立ち寄ったお店で一休みしていると 

 

カップルが『やっぱり駄目でした次回にします』と店の主人に声を掛けていた

 

聞くと維新派の舞台を今日、犬島に来て知り 店主の話で行きたくなったそうだ

 

ただ持ち合わせがなく、ATMも無い島で 

 

帰りの事を考えると 泣く泣く断念したようだ

 

店主は『絶対あの二人次は来るね』と言った

 

私も同じ気持ちをかつて経験して ようやくこの日を迎えたので

 

あの二人もその日が待ち遠しいだろうな〜と思った

 

 

肝心の舞台は 本当に素晴らしくて

 

自然も味方にしたというかとにかく想像していたものよりも遥かに良かった

 

舞台に組まれた木枠が映画のスクリーンを想像させ

 

同じ舞台上なのに別空間を演出していた

 

地形を上手に使って途中流れ込む水の演出には驚いた

 

中でも私の気に入ったシーンは遠くの岬を使ったシーン.

 

夕暮れから始まった舞台には 空を見上げれば

 

夕日が沈み月が同じ空に浮かんでいた

 

話が進むにつれ、だんだんと日が暮れて 何度も月と舞台を交互にみていた

 

辺りが暗くなり 所々で聞こえる波の音や風の音が

 

人口音と共に上手く重なって 私はどんどん物語へ引き込まれた

 

とにかく楽しかった 

 

舞台が終わりすぐに送迎の船に乗り込まないといけなかったので

 

船で隣になった夫婦と興奮して舞台の話が止まらなかったのは

 

いうまでもない

 

                         おわり

 

しかし 犬島なのに猫が多かったな〜

 

作品の中には お花畑の庭を猫が入り口まで

 

案内してくれるという演出?!まであったのだった