『ある文筆家の暮らし』 no.逗留記 四

しばらくの逗留も 夜の風情を楽しむのが待ち遠しいと感じる

 

 日が滑り落ちていくすきまは

 

庭から漏れてくる光の粒子が紅く控えめに輝いている

 

こんな光景が幾日も延々と連なってこの時がつくられている

 

夕暮れと朝日の粒子は

 

もしかしたらこれから始まる深い夜と

 

これから始まる果てしない朝の兄弟かもしれないと
 

 

滔々と考えて夜が始まっていく

 

 

 椅子に腰掛けて ふと夜空を見上げると

 

月が昇って来ている

 

見上げたところで 月と目が遇う

 

 

 そうだ、今度は秋にまたここに来よう
 

 

少しのお酒と、右手についた墨と

 

 薄く墨をひいたような 夜ににじむ月を眺めるには
 

 

この場所しかない
 

 

ほろ酔いのせいか 筆が進むこともある