『ある文筆家の暮らし』 no.逗留記 三

日頃の散策は、

 

いつもの景色を確かめるように進むのだが

 

 旅先は、いつもと違うことを確かめながら進んでいることに気付き

 

妙におかしく思えてくる

 

 

 

 

日暮れまでのあいだ歩き疲れるほど

 

界隈の散歩を楽しんで一番星が瞬きそうな頃

 

宿ののれんをくぐる
 

 

 

 

夕闇から流れてくる静かな空気に浸りながら
 

 

庭をぼんやりと眺めていると
 

 

膳が運ばれて来た

 

縁側に足を投げ出しそのまま動こうともしないでいると

 

縁側まで膳を寄せてくれた

 

庭を楽しみながら舌も楽しめるという寸法らしい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今宵はほろ酔いながら

 

おぼろ月夜を漂う夜気に解けてしまうことに決めた
 

 

箱膳のおちょこに漂う薄夜は半月