『ある文筆家の暮らし』 no.手紙

拝啓

 

 暦の上で過ぐる待ち遠しかった春の訪れを

 

ようやく肌に感じとれるようになって参りました。

 

その後いかがお過ごしでしょうか。

 

 私はといえば、相も変わらず庭を眺めたり、

 

河原へ足を遣ったりと少し年寄りじみた事に

 

うつつを抜かしている有様です。

 

年寄りじみたついでに申しますと、

 

最近は桜の植木を手に入れまして

 

世話を焼く事に わけもなく

 

取り付かれている次第でございます。

 

 この桜は今年鉢に植え替えたばかりで、

 

蕾も膨らんではいたのですが

 

どういう訳か いじけてしまったようで

 

今年は花一輪と つつましやかなものでしたが

 

これもまた 善きかな と来年の花を

 

楽しみにせっせと日に当てているところです。

 

今では緑緑しく葉も茂ってきております。

 

 

 いやはや、長々と私事を書き連ねてしまいましたが

 

少し春の陽気もにぎわいだしましたので

 

散歩がてらこちらの方まで足を伸ばしておいでませんか。

 

葉桜を眺めながら談笑したいと、

 

勝手ながら思っております。

 

またお会いする事を楽しみにしております。

 

                       敬具