『ある文筆家の暮らし』 no.12

彼は文筆家である

 

友人を待つ間 春の日差しに目を細めて

 

とりとめもなく思う

 

 

 

遥か目前には なだらかに山が重なっている

 

春の山なら 画家にでもなって

 

登ってみるのもいいかもしれない

 

とくに住みにくい世ではないが

 

そのうち自分にも絵を描くように、

 

文字がすらりと踊るかもしれない

 

 

 

などと

 

椅子の背に頭を持たせているうちに

 

うつらうつらと     馴染みの本は

 

手から滑り落ちて行くのでした