『ある文筆家の暮らし』 no.8

彼は文筆家である

 

雨の日には鉛筆では筆が進まない

 

万年筆の方が良いと思っている

 

傘を伝う雨粒に

 

気持ちを溶かした しずく が

 

万年筆のインクなのだと 言い張っている

 

 

 

硯に墨を摩るのは もちろん、

 

夕暮れ時の迫ってくる闇を溶かすのが

 

いっとう良いとなぜだか確信してやまない